一眼レフカメラの最大のメリットはレンズを選べることです。魚眼レンズ(超広角)から超望遠、単焦点とズーム、さまざま選ぶことができます。空間を切り取る芸術である写真の「切り取る角度」を決める重要な要素です。
キヤノンやニコンなどのメーカーサイトでレンズカタログを眺めているとレンズの量に圧倒されます。初心者はその中からどれを選んだら良いんだろうと迷うことだと思います。
メーカーはそういった初心者向けに「キットレンズ」というものも用意しています。普通一眼レフカメラを買うときは本体(ボディ)を単体で購入して、レンズを別に買います。キットレンズとは、入門機のボディとレンズを一緒に合わせたパッケージです。
そのキットレンズを買うべきかどうかについてネットの意見を見ていると「買うべき」という人と「買わない方がいい」という意見で割れているように思います。
今回はその両者の理由を列挙したいと思います。
もくじ
買ったほうが良い理由
なんといっても安い
いちばんのメリットです。
単体でそのレンズを買うよりも安く、例えばキヤノンのEOS 80DのキットレンズEF-S18-135mm F3.5-5.6 IS USMを単体で買うと5万円強しますが、キットレンズで買うとボディ(単体)との差額で3万円ほどと、全く同じレンズなのに4割も安く買うことができます。
純正レンズである
キヤノンやニコンというそのカメラメーカー純正ということで品質が高く、サードパーティレンズでありがちな不具合がありません。
良い写真を撮るのに良い機材はいらない
これは良く言われることですよね。「弘法筆を選ばず」ということわざもありますね。
この写真をご覧ください。写真投稿サイトFlickrからなのですが、実はこれキットレンズのEF-S18-55mm で撮られたものなんです。キットレンズは確かに超望遠と高速なAFが要求されるスポーツ写真には不向きですが、商品写真ならキットレンズでもこれだけのものが撮れるんです。
軽くて小さい
キットレンズはAPS-Cといったフルサイズよりも小さなセンサー向けに設計されているので同じ焦点域のレンズに比べて軽くて小さいです。例えばキヤノンのEF17-40mm F4L USMは500gぐらいしますが、EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMだったら約200gと半分以下の重さです。そのため長く持っていても疲れにくいです。
画質は悪くないし、手ぶれ補正もある
キットレンズというと安いかわりに画質が悪いと思われがちですが、最近のキットレンズは性能が上がってきているので2400万画素で100%拡大してみても、キヤノンのLには及びませんが数万円にしてはかなりシャープさや解像度が高いです。
EOS Kiss X7 ダブルズームキットだとしたら、一眼レフボディの価格(約3.5万円)に1万円上乗せしただけで高画質が手に入るのです。
また、手ぶれ補正もあるので遅いシャッタースピードでもブレにくいです。最大4段ぐらいまでシャッタースピードを遅くする・絞る事ができます。
マクロ性能も高い
本気でマクロ写真をやろうと思うと最大撮影倍率が1:1のいわゆる「マクロレンズ」を買わなければなりません。専用のマクロレンズは高価ですし、重たいので持ち歩くのに疲れます。キットレンズのキヤノンEF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMでしたら最短撮影距離が25cmと比較的近くまで寄る事ができます。マクロレンズにはかないませんが、他の大半のレンズよりも近寄れます。
広角から望遠までカバー
例えばキヤノンのEOS Kiss X7 ダブルズームキットは
- EF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STM
- EF-S55-250mm F4-5.6 IS II
という2つのレンズが付属してきます。なんと18-250mmという広角から望遠までをカバーできる上に、それが4万円半ばで手に入るという凄さです。18mmは一般的な広角レンズの24mmや28mmよりも広角ですし、250mmといったら定番中・望遠レンズの70-200mmの200mmよりも望遠です。
スポンサーリンク
買わない方がいい理由
レンズキットに否定的なのは主に中・上級者が多いように思います。どうしてなのでしょうか?
ほんとうに必要な画角とは限らない
キヤノンの「EOS Kiss X7 ダブルズームキット」に至っては18-250mmまで幅広くカバーしていますが、もし12mmといった超広角(魚眼レンズとも)や、400mm以上の超望遠で撮りたいとしたらどうでしょうか?新たにレンズを買わなければなりません。
暗い
キットレンズのライナップを見ていると上記のEF-S18-55mm F3.5-5.6 IS STMを含めて「F3.5」や「F4.0」といったF値ばかりで「F2.0」のような明るいレンズはありません。これは価格的には仕方がないことなのですが、やはりレンズは暗いよりも明るいほうが良いですよね。
画質が悪い
安価なためキヤノンではLレンズで使われている蛍石レンズといった高価な素材は使われていません。そのため
- 周辺光量低下があり
- 歪みがあり
- 色収差がある
といった傾向が大きいです。F8ぐらいまで絞ればそれらは改善しますが、反面暗くなってしまうのでシャッタースピードを遅くせねばならず、ブレやすくなります。
防塵・防滴性能が低い
プロ用のカメラ・レンズは雨、嵐、水辺、ホコリの多い場所で撮影できなければなりません。そういった仕様を防塵・防滴仕様というのですが、コストがかかるためキットレンズのような安価なレンズにはありません。
カメラマンの私はキットレンズを買わない
以上のようにキットレンズについては肯定的な意見と否定的の両方を紹介しました。カメラマンの私はと言うとキットレンズは買いません。理由は別に嫌いだからではなく、昔からレンズを持っているので買う必要がないからです。カメラを買い換えるときもボディ単体で買います。私は中学生の頃から写真をやっていますが、その頃最初に買ったレンズがキヤノンのEF70-200mm F4L IS USMだったからで、今でも使っているからです。
まとめ
いかがでしょうか。まとめてみると、
- キットレンズを買うべき人は→一眼レフ初心者
- 単体ボディを買うべき人は→中・上級者
ということができます。